Art Spot かくあむ  山内 豊 ギャラリー 本文へジャンプ

プロフィール

1949 香川県牟礼町に生まれる
1973 習字塾を開き、現在に至る
1984 橋本 治氏の“男の編み物”に出会い、独学で始める
1985 G.クリムトの「ユーディットⅡ」をニットで模写、ニットによる絵の始まり
1992 高松市美術館市民ギャラリーで初個展「未到処(いまだいたらざるところ)
1993 ふくやま絵画プロジェクト「備後を描こう」に、ニットの「福山城」が入選
1994 高松市セントラルギャラリーで第2回個展「四季―移りゆくすべてに」
'94~'95 「毛糸だま」(日本ヴォーグ社)のサロン・ド・トリコに応募
連続7回入選、うち特選1回
1995 テレビ東京系“TVチャンピオン第2回男子手芸編物選手権”に出場
高松市ギャラリーIWABUで第3回個展「墨と毛糸」
「テディベアのセーターブック」(日本ヴォーグ社)にオリジナルセーター所収
1996 高松市ギャラリーIWABUで第4回個展「空と海のあいだ」
1997 高松市ギャラリーIWABUで第5回個展「とうさんしまうた」、これより居住する瀬戸内にこだわるようになり、書も自作詩や句となる
1998 東京都千疋屋ギャラリーで、第6回個展「瀬戸内逍遥」
「毛糸だま」夏号や「染織α」7月号で小特集が組まれる
'98~'99 「女性のひろば」で“ニットによる子ども”を連載
1999 高松市ギャラリーIWABUで第7回個展「小さきものに」
2000 高松市ギャラリーIWABUで第8回個展「記憶のよすが」
2001 高松市ギャラリーIWABUで第9回個展「イノチノイノリニ」
「女性のひろば」12月号にエッセー「冬の編み物」掲載
2002 高松市ギャラリーIWABUで第10回個展「書く・編む私の日本国憲法」
第22回「平和のための京都の戦争展」で前文、第9条タペストリーを展示
2003 「文化たかまつ」新春号にエッセイ「書家の奇妙な趣味」掲載
高松市ギャラリーIWABUで第11回個展「書く・編む私の日本国憲法PARTⅡ
他人事(ひとごと)」
2004 「女性のひろば」2月号にピースマフラーの制作・文掲載
高松市ギャラリーIWABUで第12回個展「子どもたちは未来―」
四季のフォトコンテスト2004「腕だめし部門」で編みぐるみの「シロクマ上陸」が入選
2005 立命館大学国際平和ミュージアムに第9条タペストリーを寄贈
4月より同館リニューアル・オープンにともない、同タペストリー常設展示
高松市ギャラリーIWABUで第13回個展「一木一草」 これより書と絵を一枚に編み込んだ作品を「詩画ニット」と名付ける
2006 京都市ギャラリー翔で第14回個展「火と水の対話」
弘憲寺客殿で般若心経タペストリー他の展示
六萬寺客殿で般若心経タペストリー、詩画ニットの展示
2007 「女性のひろば」2月号で広瀬光治氏と対談
高松市岩部呉服店2階で第15回個展「風にことづて」
徳成寺本堂で正信偈(しょうしんげ)タペストリー他の展示
2008 高松市牟礼町の生まれ育った家で「Art Spot かくあむ」を開く
「Art Spot かくあむ」で特別展「二十回忌・美空ひばりをしのぶ」
第6回国際平和博物館会議に参加、分科会で「Art Spot かくあむ」について発表
「九条・英語版」タペストリーの展示
広島県庄原市の「東城まちなみぶらり散歩ギャラリー」で般若心経タペストリーの展示
2009 「9条・ハングル版」タペストリーが完成、展示
2010 松井久子監督第3作『レオニー』の題字「Leonie」を揮ごう
2010年11月20日ロードショー
 
2010年は「韓国併合百年」という負の年 日韓友好の小さな架け橋となるため、「あたりまえの平和展」を年末まで開く 「憲法九条ハングル版」タペストリー、「夜空を仰ぐヒト―尹東柱」、「痛恨の極みとなってもこの生き方」他を展示
 2011 治安維持法によって命を奪われた小林多喜二と尹東柱を描いた「星ふたつ」をタペストリーに 中の句は「放たれし思いの丈(たけ)か星ひとつ(ピョル・ハナ)」
 
  「創氏改名に抗して身を投げたヒト―ソル・ジンヨン」で、辞世の詩をタペストリーに  
   「日本と韓国の和解と共存」を願い、「有無=유무 」を制作
2011年もまた日韓友好の小さな架け橋となるため、作品の制作と展示を続ける
 
   岩手県陸前高田市に8月、励ましの気持ちをこめて「どっこい生きてる・希望の松」を寄贈
 2012  従軍慰安婦問題をテーマに、「血ぬりし過去を明日につなぐは謝罪と賠償」を
制作
   福島県双葉郡浪江町で、被曝した牛を育てる「希望の牧場」に8月、励ましの気持ちをこめて「どっこい生きてる・希望の牧場」を寄贈
 2013  「ひょっこりひょうたん島」のモデルになった島のある岩手県大槌町、その島の灯台が昨年再興された
3月、励ましの気持ちをこめて「どっこい生きてる・希望の灯」を寄贈
ただ、受け入れ側の事情も考慮しなければならないことを痛感
     
   「日本と韓国の和解と共存」を願う第二作「安寧=안녕」を制作
   宮城県南三陸町はモアイでチリと姉妹都市となっている そのモアイが津波で流された 高松市の沖にある女木島(めぎじま)にはモアイのレプリカが建っている かつて倒れたままになっていたモアイを起こそうと高松のクレーン会社「タダノ」が、現地へ行く前に練習に用いたもの そのモアイで南三陸町の皆さんに励ましの気持ちをこめて「どっこい生きてる・希望の像」を制作 志津川高校に5月寄贈
 
 高齢者のための「ゆびあみ」講座を6月に開き、教授
  2014   日韓友好三部作の三作目「幸福=행복」を制作  
     マイ・エンディング・ピクチュアズ三部作
 Ⅰ「アローン・アゲイン」
   万多悲止利尓奈徒天雪末路个
   (またひとりになってゆきまろげ)
 
     Ⅱ「レフト・アローン」
   風布万登不時奈起東支者
  (かざふまとふときなきときは)
     Ⅲ「オール・アローン」
   年々歳々寂兮寥兮
   (ねんねんさいさいせきけいりょうけい)
 
     松井久子監督第4作「何を怖れる」の題字を揮ごう
 2015 思い起こせば、1992年の初個展「未到処展」のテーマは私のお気に入りの人びと、作品でした これまでいろんなテーマを掲げてやって来ましたが、2015年1月から、「あなたにつつまれて」シリーズを開始 私のお気に入りの人びと、作品を身にまとい、それらにつつまれる幸せにひたるプロジェクトです
使用する毛糸は極太、並太、中細、極細で、細い糸は3本、4本取り 棒針は10号と7号 どうして中細で額装の作品にしないのかというと、「現在まで私の元に送られてきた毛糸の山を使い切るにはこの方法しかない」という結論に到ったからです
 
 
  1月 仏映画「美しきセルジュ」ベスト
クロード・シャブロル監督、ジェラール・ブラン主演 1958年作
「ヌーヴェル・ヴァーグから40年・・・いま、甦る幻の名作」チラシより
    オノ・ナツメ COMICS「GENTE(ジェンテ)」セーター
2.「ルチアーノ」のフランチ 2006年作より
  2月 仏映画「トリコロール赤の愛」セーター
クシシュトフ・キェシロフスキ監督、イレーヌ・ジャコブ主演 1994年作より
    東 君平(ひがしくんぺい)「おかあさんがいっぱい」ベスト
「スイカーつかさくんのおかあさん」 1981年作より
  3月 えすとえむ COMICS「equus」セーター
Bay Silver 2のケンタウロス 2011年作より
    オノ・ナツメ COMICS「逃げる男」セーター
逃げる男5、焚き火にあたる男 2011年作より
  4月 緒形拳セーター
肖像は「風のガーデン」(2008年10月9日から11回放送)より
「拳」は自筆の書より
    高倉健セーター
映画「ホタル」 2001年作より
「반딧불」はハングルでホタルの意
  5月  菅原文太セーター
NHK「日本人は何を考えてきたのか 第2回自由民権東北で始まる」 12月14日アンコール放送を紹介する塩田純氏の記事(2014年12月14日しんぶん赤旗)より
「自由民権」の書はNHKスタッフに寄せた自筆の書より
 
    仏映画「バルタザールどこへ行く」ベスト
ロベール・ブレッソン監督 バルタザールはロバの名前
1966年作より
    こうの史代 COMICS「この世界の片隅に」セーター
2009年作の「下巻」より
「この世界で 普通で まともで居ってくれ
   それが出来んようなら忘れてくれ」
  6月 森雅之第二作品集「散歩しながらうたう唄」所収のCOMICS
「ケー」セーター 1983年作より
  7月 ソ連映画「僕の村は戦場だった」セーター
アンドレイ・タルコフスキー監督 コーリヤ・ブルリヤーエフ主演
1962年作より
    オノ・ナツメ COMICS「not simple」ベスト 
イアン 2006年作より
  8月 マリア・シュナイダーのベスト
「ラストタンゴ・イン・パリ」(1972)「さすらいの二人」(1974)「危険なめぐり逢い」(1976)と流れていった慧星のポートレートより
    仏映画「ぼくの伯父さん」のベスト
ジャック・タチ主演・監督 1958年の作より

  9月 メキシコの映画監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥのセーター 「アモーレス・ぺロス」(1999)「11'09"01」(02)「21g」(03)「バベル」(07)「ビューティフル」('10)「バードマン あるいは(無知のもたらす予期せぬ奇跡)」('14)・・・・人びとの生きる現実の軌みを、それぞれの視点ですくい取る――その力業(わざ)からくり出されるカラフルな闇!
  10月 英映画「リトル・ダンサー」のセーター
スティーヴン・ダルドリー監督 ジェイミー・ベル主演
心踊る2000年の作より
  映画監督市川準のセーター
背にはわが市川作品ベスト3の「トキワ荘の青春」(96)
「ご挨拶・第2話佳世さん」(91)「トニー滝谷」(05)を配し、袖には監督の好きだった雲を入れた
  11月 米映画「チャンス」のベスト
ハル・アシュビー監督 ピーター・セラーズ主演
無知で無欲なただの庭師チャンスの、地上何センチか浮いたストーリー ヒューマン・コメディこれぞ一本の 1979年の作より
    米映画「ストレイト・ストーリー」のセーター
デイヴィッド・リンチ監督、リチャード・ファーンズワース主演
10年来仲違いをしていた兄が病に倒れたと聞き、73歳の男が時速8kmのトラクターで、560kmを6週間旅をする
79歳のファーンズワースはこの翌年に永眠 1999年の作より

  12月  カナダの俳優・監督グザヴィエ・ドランのベスト
1989年生まれの若き才能は、「マイ・マザー」(09)「胸騒ぎの恋人」(10)「わたしはロランス」(12)「トム・アット・ザ・ファーム」(13)「エレファント・ソング」(14)と快進撃のまっただ中にある
これで1月から始めたシリーズ「あなたにつつまれて」は1期を終了した 月2枚のペースは少々崩れたが、ま、そういうものだ 編みたい題材と毛糸の山はまだまだ尽きないので、2016年より第2期に入ります  
  2016 1月 米映画「イントゥ・ザ・ワイルド」のセーター
ショーン・ペン監督、エミール・ハーシュ主演
大学卒業後、その恵まれた境遇を一切棄て、アラスカを目指し、24歳で命の果てた実話の映画化 自己の居場所を荒野に求め歩いた青年を、ハーシュもペンも追体験している 2007年の作より
    加藤亮のセーター
若き演技の多面体―加藤亮、今度はどんな姿を見せてくれるんだろうという喜びがある ガス・ヴァン・サント監督「永遠の僕たち」(11)原恵一監督「はじまりのみち」(13) ホン・サンス監督「自由が丘で」(14)が現時点でのベスト3
  2月 米映画「スローターハウス5」のベスト
カート・ヴォネガットの原作(69)をジョージ・ロイ・ヒルによって映画化(73) 2人とも亡くなったが未だ映画は見ていない ヴォネガットの本も探してみたら「母なる夜」と「国のない男」しか残っていない So it goes(そういうものだ)後ろの絵はヴォネガット筆の自画像による
 
    米映画「いつか見た青い空」のベスト
エリザベス・ハートマンのデビュー作 盲目のはかなくもタフな女性を演じた ジェリー・ゴールドスミスの音楽が時どき私をよぎる
「ウォーキング・トール」(73)まで6作に出演したが87年に自裁した
それまでの14年間を時どき考えるのである
  3月 茨木のり子のセーター
詩集「自分の感受性くらい」(77)より「自分の感受性くらい自分で守れ ばかものよ」を後ろに 50歳を過ぎてハングルを習い韓国の詩も翻訳 尹東柱の素晴らしさも茨木さんが教えてくれた 06年に亡くなられた 
    石原裕次郎のサマー・ニット
まさか私が裕次郎を編むとは思わなかった 自分でも驚いている 石原まき子「裕さん、抱きしめたい」、石原慎太郎「弟」、村松友視「裕さんの女房」と昨年たて続けに読んで、裕次郎が受けた喝采を超えるほどのケガ、病の大きさを知った すると孤独な不良少年の輝きを、サマーニットにとどめたいと思ったのである 今年7月17日は30回忌である
  4月 モニカ・ヴィッティのサマー・ニット
わが17歳のミューズであったモニカ・ヴィッティの「赤い砂漠」が高松でも上映された時、18歳未満はダメというテケツのおばさんに喰い下がって見ることのできた喜びよ アントニオーニの「愛の不毛」3部作の1つだが、今見ると彼女はこの世の違和におびえ、自分の居場所を探していただけに見える 物理の授業時、私はM・ヴィッティの似顔絵ばかりノートの隅に描いていた そらで描けたのだ
5月 仏映画「まぼろしの市街戦」のセーター
フィリップ・ド・ブロカ監督にはヒューマン・コメディの傑作として この映画(67)と「君に愛の月影を」(69)がある
 戦争に従軍した一兵卒が、自由な精神病患者たちの世界を知るにつけ、狂っているのは人を殺すのが日常のこの世界だと、鳥かご1つ持って、軍服を脱いだ裸で病院の前に立つラスト!
もうこの映画を見るのは叶わないのだろうか
  6月 コリン・ファレルのセーター
マイケル・カニンガムの小説「世界の果ての家}の映画化した作品をレンタル店で発見 「イノセント・ラブ」(04)劇場未公開 みなし児となった青年役のコリン・ファレルが素晴らしかった てっきり新人だと思っていたらキャリアを積んでいた その後十数本見たが才能あるアイルランド人であることがわかった ケルトの紋様で囲んで彼を賛える
  ダーク・ボカードのベスト
「召使」(63・ジョセフ・ロージー)「ベニスに死す」(71・ルキノ・ヴィスコンティ)「愛の嵐」(73・リリアナ・カヴァーニ)が彼のベスト3だろう 内向的で思索的な人と思いきや「レターズ・ミセスXとの友情」を読むと、案外「唇からナイフ」(65・J・ロージー)の間抜けで気取り屋の悪ボス役のように活発で驚く
  7月  フェイ・ダナウェイのロング・ベスト
忘れ去られたおさな子のようなボニーを演じた「俺たちに明日はない」(67・アーサー・ペン) 父との関係を築けぬまま“妹”を育てる謎の女を演じた「チャイナタウン」(74・ロマン・ポランスキー) フェイ・ダナウェイは私にとって「かなわんなあ」と思わせる猛女であるが、この猛女にぴったり貼り付いている孤独に私はまいるのである
  8月  マイケル・J・フォックスのサマー・ニット
ブライアン・デ・パルマ監督の見落とした映画で「カジュアリティーズ」を見て、マイケルを見直した 「ラッキーマン」を読んでパーキンソン病について学んだ 彼はカナダ人だということも初めて知った 前身頃は声を担当したリトル家のスチュアートを
      谷内こうたの絵本「のらいぬ」のサマー・ニット
夏の暑い日の、犬が見た白日夢 友だちを見つけた喜びと失った悲しみ また一人になってしまった黒犬の孤独は、20代の私には近しいものだった
  9月   サラ・ポーリーとジュリー・クリスティの半袖セーター
サラ・ポーリーもカナダ人 「あなたになら言える秘密のこと」で初めて知った 他の誰をも拒否する理由と、彼女に接近していくティム・ロビンスの関係が好ましかった そんな彼女の監督作「アウェイ・フロム・ハー君を想う」で久しぶりにジュリー・クリスティにめぐり会った アルツハイマーの初老の女性を魅力的に演じていた 20代半ばでこんな映画を作れるサラ・ポーリーに脱帽
      「裁かるるジャンヌ」の半袖セーター
カール・ドライヤー監督のサイレント映画(1927) やっと2016年になって友人から借りたDVDで見た ジャンヌ・ダルク役の感情の動き、裁く側の俗物性や同情 字幕とのリズム 上映時間は86分 この長さで人間の深淵に降りることができたのである
その重厚さを 小さなTシャツに閉じこめるように編んだ
  10月   ロバート・アルトマンのセーター
反ハリウッドの巨人、ロバート・アルトマン監督 しかし、反権威、悪ふざけだけの人ではなく、その神経は実に細やかである 人は自分の好きなように生きればいい――彼の映画を見るたびにそう思う 好きな映画と出演者を後ろと両袖に配した
  11月  シシー・スペイセクのベスト
なんといっても「キャリー」の人である ブライアン・デ・パルマ監督は「人生は悪夢に似ている」を映画でやっている人である シシー・スペイセクは無防備な人間が無力でないことを「キャリー」で示した 年齢を重ねても、いつまでも少女の部分を持ちあわせている ちなみに彼女は私と同い年である
     「カポーティ」のベスト
何度見ても眠ってしまう映画がある かつては「去年マリエンバートで」がそうだった 最近は「カポーティ」がそれ 劇場で眠り、DVDを借りてきては眠り、やっと3度目で出合い その素晴らしさに酔った カポーティのかけひき、不安があぶり出されていた 監督のベネット・ミラーは「マネーボール」も「フォックスキャッチャー」にも唸った 今後がたのしみである
  12月   「ミンヨン 倍音の法則」のセーター
悲しみ、苦しみを越えて、人は混じりあい歓びの歌をうたう 佐々木昭一郎監督2014年の到達 ユンヨンの夢でモーツルトが言った「倍音はマル どこで切ってもつながるマル」がこの映画のすべてだ モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」を聴きつつ編んだ
     ジェット・リーのセーター
ジェット・リーの眼は美しい 小柄で力みのない立ち姿も美しい 有名なカンフー時代を私は知らず、「ダニー・ザ・ドッグ」(05)で殺人犬から人間性を取り戻す青年役で出合った モーツァルトのピアノ協奏曲第11番を聴いて母を追慕するラストの涙が美しかった 「海洋天堂」(10)ではガンで余命いくばくもない父が、遺される自閉症の息子を案じる役を、ノー・アクションで演じた 今後も時にはこんな映画に出てほしいと思う
  2017 1月  仏映画「海の沈黙」の半袖セーター
ジャン・ピェール・メルヴィル監督の長編処女作(47) 伯父と姪の住まいに独軍の将校が宿泊先としてやって来る 将校は夕食後、独白のように2人の前でフランス文化の素晴らしさを呟き続ける それを2人は毎夜無視し続ける そんな己を伯父は「恥知らず」と断罪する 姪はせっせと編み物をし、ショールに刺しゅうをし続ける 仏人と独人は対話はないが互いを受け入れているのがわかる 姪が完成したショールを肩からかけると互いに手を差しのべている図案が浮かび上がる この映画の崇高さ、美しさ!
姪役のニコール・ステファーヌのギリシャ彫刻の如き美しさ 画面をストップしてクローズ・アップの眼をスケッチした アンリ・ドカのカメラの見事なこと レンタル店ではアクション映画の棚にあった ん?


     レナード・コーエンのベスト
私の場合は彼との出合いは小説「嘆きの壁」(70) 歌との出合いはR・アルトマン監督「ギャンブラー」に使われた「電線の鳥」 その夜のしじまを流れたゆたう孤独の響きにたちまちとりこになった 5枚のLPと1冊の本が遺った 今では聴けやしないレコードの帯と本の帯に描かれた絵を後ろに 前は中年の頃のポートレートより 昨年11月82歳で死去 彼もコスモポリタンのカナダ人であった
  2月  ピア・デゲルマルクの半袖セーター
「みじかくも美しく燃え」(ボー・ウィデルベルイ監督・68)「鏡の国の戦争」(69)「さよならを言わないで」(70)の3本を残して映画界から消えたスウェーデン女性 「みじかくも美しく燃え」1本きりしか彼女を見ていないが、恋の逃避行中に、木と木の間にロープを渡して綱渡りをしたり、食糧がなくなり草を食べてもどしたり、もちろんラストの蝶を追う姿と銃声などいまだに蘇えってくる 美しい映像とモーツァルトの調べ また見たい
 
      パトリシア・ゴッジの半袖セーター
「シベールの月曜日(セルジュ・ブールギニョン監督・62)の少女である 戦争の後遺症に苦しむ青年と孤児院に預けられた少女との、日曜ごとの密会を描く カメラはアンリ・ドカ 美しいモノクロの映像 寒さいや増す氷った湖面を滑る石の音 そして2人の逢う瀬が誤解を生みやがて訪れる悲劇 ブールギニョンもハーディ・クリューガーもP・ゴッジもこの後これを超える映画を撮ることはなかった それくらいこのタッグは神かがりである
  3月  リタ・トゥシンハムのベスト
60年半ばまでR・トゥシンハムの役柄はいつも「みにくいアヒルの子」だった 哀れな境遇をけなげに生きる少女は「蜜の味」(トニー・リチャードソン監督・61)「廃墟の欲望」(ベイジル・ディアデン監督・63)「みどりの瞳」(デスモンド・デイビス監督・64)で見ることができる 大きな瞳と大きな口のファニー・フェイスも忘れられない 日本人が最も着ない色、緑色で編んだ
     公益財団法人日本財団募集の、ハンセン病の元患者との交流を綴った随筆「風に舞う」が佳作に 「ふれあい文芸・平成29年版」に掲載 
  4月  キネマ旬報「読者の映画評」への投稿を、2014年より再開
「ペコロスの母に会いに行く」(第1次通過) 「トム・アット・ザ・ファーム」(14年公開のところを16年に出し、没) 「この世界の片隅に」が1973年以来44年ぶりに掲載さる
     ジョアンナ・シムカスのセーター
なんといっても「冒険者たち」(67年・ロベール・アンリコ監督)の人 青春期の自由と痛み 海底に葬られるレティシアは今も眼に灼きついている てっきりフランス人だと思っていたが、今回カナダ出身と知った
     豆太のサマー・ニット
古書店で、帯にオノ・ナツメとこうの史代両氏の推せん文が載っていて、すぐに購入した「コーヒーもう一杯」ⅠとⅡ 作者は山川直人 今どき手描きの感触で埋めつくされた悕有なCOMICS いつまでも眺めていたい線描で、取り上げたのは「恋する喫茶店」の豆太 実に愛らしいのである
  5月  ロック・ハドソンのサマー・ニット
このシリーズ50作目 なぜロック・ハドソンなのか、理由はない 85年にエイズで亡くなったのは衝撃だった 評伝を読んだが、今本は手許にない 森田童子のアルバム「GOOD BYE」の中に「センチメンタル通り」があって、“今夜は久しぶりに 君とロックハドソンのジャイアンツでも しみじみ見たい気持ちだネ”を頭の中で口ずさみ、「ジャイアンツ」を借りて来た 40数年ぶりに見るとJ・ディーンの怪演は苦笑と共に遠のき、R・ハドソンのオーソドックス演技に頷き、エリザベス・テーラーの進歩的女性の輝きにクラクラした そしてジョージ・スティーヴンスの粘り強い演出に脱帽し、続けて「陽のあたる場所」を見た 
R・ハドソンは、タフガイ、洗練されたレディ・キラーを主な役どころとしたが、異質な作品が「セコンド」(66年・ジョン・フランケンハイマー監督)である ある時点で全て別の人間になり変わる男の話で、ガラガラの丸の内松竹だったかで見たのが憶い出される1970年



  6月  渥美清のサマー・ニット
8月4日は22回忌 若い時に肺を病み、世の中のすきまに己れの居場所を見出そうと必死だった渥美さん ようやく結実したのが寅さんだった 晩年の渥美清に焦点を当てた本を何冊か読んだが、どれも体力の闘いが悲痛だ 「男はつらいよ」の47作目と48作目とでは体調の差に驚く 結局渥美清は尾崎放哉も種田山頭火も演れずに逝った さぞかし無念だろう
後身頃「泣いてたまるか」の「ある無名戦士!」は「ああ無名戦士!」のまちがい 作画の段階で誤り、完成近くに気づいた 早坂氏に深謝



  7月  エリザベス・テーラーのセーター
私がリアル・タイムでE・テーラーを見たのは「バージニア・ウルフなんかこわくない」(66年・マイク・ニコルズ監督)で、初老の教授夫人を熱演していた 「美貌のスタア」ではなかった 今年「ジャイアンツ」「陽のあたる場所」を見て、その輝きに圧倒された その美しさの前に言葉は無力ばかりなり



  8月  エディ・マーサンのベスト
「おみおくりの作法」(2013年・ウベルト・パゾリーニ監督)を見るまでE・マーサンを知らなかった、というのは正確ではない 「21グラム」(03)「あなたになら言える秘密のこと」(05)「マイアミ・バイス」(06)「幻影師アイゼンハイム」(06)「ロンドン・ブルバード」(10)と見ていたのだが、覚えていない
「おみおくりの作法」の、「人生は続き、そして終わる」の恬淡に惚れ惚れした その後「アリス・クリードの失踪」(09)をレンタルしてきたら、あまりの兇暴犯ぶりに驚いた 役者である
   マーク・ラファロの半袖セーター
この人はいつの間にか表舞台に立っていた、という感じ 「フォックス・キャッチャー」(11年・ベネット・ミラー監督)の、レスリングの才能と人望を兼ね備えた兄の役が素晴らしかった それ故オーナーのジェラシーを買い、銃弾に倒れる説得力!「スポットライト世紀のスクープ(15年・トムマッカーシー監督)の、教会の闇を暴く記者も良かった もっと齢をとって、立ってるだけで憂愁を感じさせる俳優になってもらいたいものである
 

  9月  映画「白いリボン」のセーター
ミヒャエル・ハネケ監督(2009年)の作品 ハネケの視線には虫酸の走ることがある この映画は第1次世界大戦前のドイツの小さな村を舞台にして、大人と社会の欺まんに抗がう少年を描く 反抗する者には腕に白いリボンが巻かれ、見せしめとされる ただ、この抗がった少年たちは、長じてナチス帝国を築いたのだと思うと、ラスト・シーンに解放感はない ハネケは苦い苦い味を観客に提供する


  10月  シャーロット・ランプリングのニット
70歳となっても主役がやれる稀有の女優である 私がおそれる女優の一人だ 古くは「愛の嵐」(1973年)でナチスに囚われた女性、新しくは「さざなみ」(2015年)の夫婦の45周年の祝賀会で、夫の不実をやはり許さず、ラストで一瞬のうちに観る者に冷水を浴びせかけるアクション!この人は死ぬまで女を降りない
  11月  永瀬正敏のニット
若い若いと思っていた永瀬君も、もう五十歳を越しているんだなあ 永瀬正敏には2つの流れがある オーソドックスな演出に染まった演技と、今まで誰も見たことのない映画作りを目指した、歌舞(かぶ)く演技 前者は「息子」「学校Ⅱ」そして「隠し剣鬼の爪」で、後者はジム・ジャームッシュ、F.T.フリドリクソン、ハル・ハートリー監督作品や、私立探偵濱マイクシリーズに表れているのだろう 近年役柄とはいえ、すがれた姿を目にして、私は胸を衝かれる思いがした 見終わった後、小春日和の陽だまりを感じさせてくれる映画を、切に願っている
 

      劇画家辰巳ヨシヒロのセーター
「劇画」という名称を作った漫画家である 私が今まで好きになった男性漫画家はというと、年代順に寺田ヒロオ、桑田次郎、つげ義春、永島慎二、鈴木翁二、石井隆、湊谷夢吉、森雅之、山川直人である 辰巳ヨシヒロは月刊「ガロ」で二番手といったところ が、シンガポールのエリック・クー監督が2011年に敬愛するTATSUMIを映画にしたと知って、虚を衝かれた 辰巳のCOMICSがフランス等の海外で高い評価をうけていると知って驚いた このセーターを作るにあたり、手持ち分を読み直した 最後の一頁でアッと言わせる手法はつげ義春も同様だが、辰巳の場合、展開がよく理解できないものもある 後身頃に入れたのは1970年作の「いとしのモンキー」である これは凄い


  12月    歌手ハリー・ニルソンのセーター
ティム・ロスの出た作品を追っかけていて「レザボア・ドッグス」に会った タランティーノは敬遠していたから、今頃になって見た ギャング一味と内偵の刑事が全滅した後、クレジット・タイトルが流れると同時に、ニルソンの「ココナツ」が流れた 巧い! ニルソンはポップなロックンローラーだった 20代の私は、広音域のなめらかな声の「ウィザウト・ユー」や「ワン」に慰められた 30代に入ってからいつの間にか聴かなくなり、いつの間にかニルソンは亡くなっていた 私には9枚のLPレコードが遺った


 
       檀一雄のチョッキ
「火宅の人」を買ったまま、何十年寝かしていたことだろう 沢木耕太郎著「檀」、檀ふみ著「父の縁側、私の書斎」を読んだ後ひも解いた 初めは4頁ほど読んでから寝ついていた 読むのが苦痛だった が、次第にこの人の裡で吹き荒れる暴風に巻き込まれていった 女性問題、系累への仕送り、子どもの病気、非行、大量の食材を買い込んでの調理とふるまい、そしてあおる酒....それらが渦巻くように絡み合っている どこまで行っても見える孤独 やがて重い単行本も苦でなくなった 映画「火宅の人」は緒形拳の熱演をもってしても一面しか描いていない ニューヨークのホテルの高層階で、窓に裸で腰かけ、ウィスキーとミルクを交互に呑み続ける檀一雄の姿が私には忘れられない



  2018 1月    歌手ドン・マクリーンとゴッホのセーター
「アメリカン・パイ」というアルバムの中に「ヴィンセント」という歌がある ゴッホについて歌った曲だ 「スタリ・スタリ・ナイト・・・」で始まる ゴッホの孤独を慰め、彼の生き方を理解したよと歌う 実に心優しい歌で、たった1枚のLPしか持っていないが、ドン・マクリーンの歌声は私の裡で流れている
     ティム・ロスのベスト
ゴッホといえば '90年にロバート・アルトマンが監督した「ゴッホ」でティム・ロスが演じていたのだった 観終わって「ふうーっ」と熱いため息が出たのを憶えている ティム・ロスは多才でいろんな役を演じ、監督もしている が、ミシェル・フランコ監督の「ある終焉」を見て驚いてしまった この映画でT・ロスは終末期患者専門の介護士に扮している この介護士、女性患者と親密すぎたり、男性患者の求めるままにポルノを観たり、男性患者の経歴を自身のものにスライドさせたり、患者の家族になじられても平然としている その不気味さ、現代的な病理を、T・ロスはものの見事に演じていた
  2月    ティム・ロビンスのセーター
大きな体に童顔が乗っかった才人ティム・ロビンス あまたある作品の中で私が好きなのが「ショーシャンクの空に」と「あなたになら言える秘密のこと」 刑務所の中でゴツい男の色目におびえながらの脱獄行と、モーガン・フリーマンとの友情が心憎い「ショーシャンクの空に」 心を閉ざし続けるサラ・ポーリーの痛みと、大やけどを負った自身の原因を語る繊細さが交叉する瞬間が素晴らしい「あなたになら言える秘密のこと」 前身頃に編んだのは、ポール・ニューマンと共に大笑いする「未来は今」より
       「おばあちゃんの家」のセーター
2002年イ・ジョンヒャン監督の韓国映画である とにかく素人のキム・ウルブンさんのたたずまいが素晴らしい 私も劇中の少年のように祖母をないがしろにしたことがある だから、このおばあちゃんを見ているだけで泣けてくる もうあやまることはできないけれど



 

  3月    いわさきちひろの半袖ニット
大学に入って児童文学研究会に入った そこで先輩の女性たちが夢見るように紹介してくれたのが「あめのひのおるすばん」(’68)と「あかちゃんのくるひ」(’69)だった 今まで見たこともない感覚、幼児のしぐさが新鮮だった 後じて私はこの2冊の核は、“孤独の実感”にあると思うようになった 猫はいるが“ひとり”のるすばんの恐怖 やがて家にやってくる赤ちゃんによって、愛の王座を譲らなければならない孤独 赤ちゃんの帽子をかぶった表紙の絵はせつない 今回はしんぶんに載っていたベトナム反戦野外展のポスターの子どもとちひろの肖像を編んだ 子どもたちは今日も大人たちに殺されている
 


       ビリー・ボブ・ソーントンのベスト
「スリング・ブレイド」はビリー・ボブ・ソーントン監督・主演(1996) 多才の人である 私の中でこの映画は「アラバマ物語」とセットになっている 障がい者と思われていた男の中に流れている心がものの見事に表現されている 20年以上経っても、また見たいなあと思っていたら、レンタル店の棚にあった!最初と最後に、収容された病院の窓の外を男は眺めている が、男はもう孤独ではない 少年との憶い出がたっぷり頭の中に残されたのだ 次は「チョコレート」にめぐりあいたいと願っていたら出会った
 これもまたひしひしと孤独が伝わってきた
       永島慎二「旅人くん」の半袖ニット
映画「黄色い涙」(07・犬童一心監督)の冒頭に、ダンさんの油彩の自画像が出て、献辞を読んだだけでグッときた 大学時代、「ガロ」で読んで好きになった 絵が好きだった 登場人物のこころ根が好きだった
 前身頃は、大都社版やサンリオ文庫版、西早稲田の安藤書店の包装紙をミックスした 後ろは油彩の自画像より
 
  4月    中村雅俊の半袖ニット
古レコード店の店先に均一コーナーがある そこで昨年何気なく購入したボックス入りの「時の肖像」(1991)というアルバムに、「ひとりぼっちの夜空に」が入っている 作詞・康珍化、作曲・吉田拓郎 あなたを好きになったら僕は苦しみ傷つくが、その方がずっとしあわせだよ、という歌だ 私の胸をえぐったので編んだ
       キム・ギドク監督のセーター
民団の韓国語講座に通っていた頃、事務員と映画の話になってキム・ギドク監督の名前を出したら、即座に否定された 私はイム・グォンテク、イ・チャンドンと同じくらい好きな監督なのだが 後見頃には「悪い男」「春夏秋冬そして春」「うつせみ」そして「アリラン」と製作順に好きな作品を入れた この人の製作の核は詩だろう 肉付けは事件だったり現象だったりするが 気になっていることがある いたって生真面目な内省を綴った「アリラン」以後、画面からカラーが抜け落ちて、泥のような感触になっていることだ このセーターの赤と青は「火と水の対話」を表現した
 
 

  5月    ビル・エヴァンスのセーター
映画や小説や、詩や歌を評する時のようには、私はJAZZを語れない 不思議なくらい言葉が出てこない でも、ビル・エヴァンスの曲は大好きなのだ ピアノ・タッチが他の人とは違う 早弾きでもこれみよがしの感じがしない スロウ・テンポだと、その内省に常に揺さぶられる 後ろには好きなタイトルを入れた 「Peace Piece]「Blue in Green」「Some Other Time」を両袖口にはピアノの鍵盤を配した 永らくLP「ポートレイト・イン・ジャズ」しか持っていなかったが、古書店でCDを購入したり、図書館で借りたりして聴いている エヴァンスの曲は今も私にとって現在である


 
       ニコラ・フィリベールのベスト
フィリベールはフランスのドキュメンタリー映画の監督 「パリ・ルーヴル美術館の秘密」('90)と「ぼくの好きな先生」('02)しか見ていない
 けれどもこの人の、人間と世界を視る目の自然さ、確かさはいつまでも見ていたいという気にさせてくれる

  6月     タンタン/エルジェの半袖ニット
タンタンとスノーウィをいつから好きになったのか覚えていない 3年前だったかユニクロの夏のTシャツにタンタンが扱われた 3枚買った しかし作者のエルジェについては、アンドレス・オステルガルド監督「タンタンと私」('03)を見るまでは何も知らなかった エルジェは1907年生まれというから 日本でいえば明治の人 しかし線も、決して多色を使っているわけでもない色彩も、決して古びることのないCOMICSである 下のあみぐるみは、スノーウィをモデルに'99年6月に制作したもの


        中里恒子の袖無し
    はじまりは昨年に「時雨の記」を読んだこと すっかりこの中高年男女の愛のとりこになってしまった 以来、小説や随筆をたて続けに12冊読んだ 澤井信一郎監督の同名映画('98)も見た しかし「時雨の記」を読んだ時に感じた「覚悟」の密度を越えるものには出会っていない
先日、本の整理をしていたら、十返肇の「現代文壇人群像」(S31・六月社)が出てきた そこに「女流作家うらおもて」で中里恒子がある 引用する ~いつもお作は絵のように美しくって気品がおあんなさって、私たちシモジモのものには文句のつけようもないんザマスけど またそれだけに生活からも遠くて頼りないような気がするのは止むを得ぬ それというのも、この奥様のお作には、作者が命を賭けた激しさというものがゼンゼン感じられないからじゃございません?(後略)~全篇こういった調子でヤユされている その約20年後に出た「時雨の記」を十返の墓前に供えたいと思う


 
  8月     幸田文の袖無し
亡き祖母は寒くなると着物の上に袖無しを重ねていた 寺田文は書いたものも生き方も、一本筋が通っていて近寄りがたい 映画化された「流れる」成瀬巳喜男監督(1956)も「おとうと」市川崑監督(1960)も大好きで、何度見てもいい ただ村松友視の「幸田文のマッチ箱」('05)などを読むと、ユーモラスな一面もあり、後見頃には笑顔を選んだ
 酷暑の中、7月中に完成することができなかった

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